コロナ期動物話8 モモ、ハナ

モモ、ハナ

モモとハナは姉妹で小さいモモがお姉さんで大きいハナが妹でした。
私が山で拾って来ました。営業車で走っている途中に。
モモの方が小さいのに威張っていて、ゴハンを食べるのも、おやつをもらうのもモモが先でした。
ハナが先に食べようとするとモモが「うう〜」と唸ります。するとハナは「ああ、ごめん」とさがります。
モモはしっかり者ですが、少しずるいところもあって、怒られそうになると
お腹を見せて仰向けになり、「キュイーン、キュイーン」と周りの人に助けを求めます。
それをとなりで見ているハナは「何してるの?」とポカンと見ていました。
たまに、「ハナ、おまえはモモより体が大きいんだから、強いんだよ、モモに負けちゃだめだよ」
と、励ますのですが「強くなるってなんですか?」と言う顔をしていました。
モモは知らない人が来ると吠えるのですが、ハナは吠えません。
モモに促され、「ああ、ここ吠えるんですね」というていどです。
だから、猫も鳥もハナの背中やお腹に乗っていました。
みんなハナが好きでしたが、それもモモがしっかりしていたおかげで、
ハナはのんびりしていられたのでは、と思います。

犬は大きくなると一緒の小屋にいない、という話を聞いたので、別々にしてみましたが、
二匹とも「寂しい、寂しい」と夜通し鳴くので、最後まで一つの小屋で過ごしました。

ある夏の終わりにモモは亡くなりました。その夏はとても暑く、
モモの食欲はほとんど、ありませんでした。
ハナは心配してモモの体に鼻をつけて、いつもクンクンしていました。

モモが亡くなって、しばらくハナは泣いていました。たまに「お〜ん、お〜ん」鳴くのでです。
そして、その年の暮れ頃からハナも元気がなくなり始め
散歩も近くですませるようになっていました。
ハナもずいぶん弱ってきていました。

続きは次の「気まずい一人と一匹」に。

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