コロナ期動物話10猫物語

六月二日、火曜日よりくるみコーヒーは通常営業を開始します。
もともと、ソーシャルディスタンスが取れているような店ですが、
イベント等混雑時には、屋外で景色を眺めながらの飲食を
お願いすることもあろうかと思います。
あらかじめご了承くださいませ。

それでは猫物語、最後になります。

「ピリカ、ノン、ロク、そしてスズ」

ピリカ、ノン、ロク、そして産まれたばかりのスズ。
ノンとロクが男の子、ピリカはおばあさんでスズはトラ猫の女の子です。

ノンがロクに話しかけます。
「ロク〜、おばあちゃんのほう行こうぜ。ちっちゃいのからかってこようよ」

ノンは根っからの野良猫なので、野良猫ノンちゃんと呼ばれていました。
大きくなるにつれ、筋肉が盛り上がり、でも気持ちは子供のままでした。
ロクが家に来てすぐに家に入って来ました。
ロクが台所の外で鳴いていたノンを誘い入れたのです。
ノンロクは血はつながっていませんが、まるで兄弟です。

ロクはノンの来る数日前に近くの神社で拾われここにやって来ました。
なんか人間みたいで、話が全部分かる優しい白猫でした。
その前から住んでいるのがピリカ、北海道旅行の途中で付いてきて
住みついているシャム猫です。気位の高い、ちょっと面倒くさい、おばあさん猫です。

ロクは「そうだね、行ってみようか。ボクが今日は部屋の前でニャンと鳴くよ」
と言いました。
別棟の二世帯住宅の渡り廊下の先の部屋にピリカとスズは住んでいます。
その部屋の前で猫たちは鳴いて知らせます。
すると、自動的にドアが開く仕組みになっているのです。
(人間が開けているわけですが)
ノンとロクは渡り廊下の先のドアの前に行儀よく座り
今日はロクがニャン、ニャン(入れて、入れて)と鳴きました。
あまり気が急いて爪をかけたり、体当たりすると
ちょっとだけドアが開いたかと思うと
「うるさい、あっちに行ってなさい!」
と怒られ帰されることがあるのです。
だから、ここは慎重に焦らず、笑顔で。
だって、二匹は産まれたばかりの赤ちゃんが見たいのですから。
赤ちゃんはいい匂いがして柔らかく、鼻でちょっと押しただけで
ちっちゃい手をバタバタさせて、ミーミー鳴くのですから面白いったらありません。

そっと、ドアが開きました。
ピリカが見えます。
袋手をして部屋の隅のソファーの上で知らないふりをしています。
ノンロクはピリカに駆け寄り、ご機嫌をとります。
「おばあさん、いつも、ツヤツヤの毛並みですね〜」とノン。
「あんたたち、また赤ん坊見に来たの?どこが、面白いんだか」とピリカ。
ノンはロクに耳打ちします。
「やっぱり避妊したひとは言うことが違うね、他の猫には興味が無いみたい」
「シ!」とロク。
ロクがピリカに話しかけます。
「あの〜、赤ちゃんはどちらに?見てもいいですか?」
「ホラ、奥の部屋のダンボールの中。見たらサッサと帰ってね。
それと私のゴハン黙って食べちゃうでしょ。今日はダメだよ!」
ハイ、ハイと言いながらノンロクは奥の部屋へ。

「おー!いたね〜!たまんないね、このミルク臭さ、食べちゃおうかなぁ〜」
と言いながらノンはスズに鼻を近づけます。
ロクは優しく舐めてやります。
「ほら、舐めただけで転がっちゃったよ〜」とノン。
ロクはスズをそっと咥えダンボール箱から外へ出そうとします。
それを見ていたノンが「あれ、この布の下に何かあるよ」
と言いながらスズいた布の中を手でかき回します。
「なんだこれ?」
落ちていたミルク用のスポイトを見つけると
手で引っ掛け取り出し、しばらく様子を見ています。
危害を加えそうに無いと思うと、二匹で畳の上を転がします。
「ナンダコレハ、ナンダコレ」と言いながらキャッチボールをはじめました。
赤ん坊のことは忘れています。

ひとしきり遊び、お昼寝をして、やっぱりピリカのゴハンを盗み食いしてから
「ニャン」と言ってドアを開けてもらい帰って行くのです。

これが何もない時の猫たちの日常です。

ノンは交通事故、ロクは行方不明、ピリカとスズは家で老衰で亡くなりました。

コロナ期の動物話はこのへんで終わりにします。
でも、この後にもハチ、にゃ七、キュウ、モフモフ、鯖五郎、トラオと猫は続いています。
モフモフ、鯖五郎、トラオは現在進行形です。

一匹、一匹みんなの物語は私の物語です。

では、又、別の機会に

get throuh to the コロナ😀

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