「この頃、ブログを書いてないけどどうしたの?」と聞かれます。
「犬が死んだから」と応えると、不思議な顔をされています。
ペットロスも確かにありますが、
言葉を繕っている自分が嫌になっているのです。
ふと見ると、窓の外では時々黙々と椎の木の枝を切ってくれている人がいます。Nさんです。
穏やかで力強く謙虚です。
ああ、なんて自分はダメなんだろう。
言葉が多すぎて、それが世慣れて、まったくもって恥ずかしいのです。
チェーホフは雨が降ったら、雨が降ったと書けば良いと言っていました。
力が無いから繕うのでしょう。要するに自分に自信が無いから、口や文字で誤魔化すのでしょう。

昔こんな話がありました。
批評家の小林秀雄先生を招いて「阿蘇、雲仙合宿」という勉強会が昭和40年代、九州でありました。
知の巨人が来られるということで、先輩達は少しでも何か吸収してやれと参加した時の話です。
講演が終わり、学生との質疑応答の時間がいただけました。
何人かの学生たちが質問を終え、次に一人の学生が挙手し、 質問が許可されました。
そして、マイクの前に進んだ学生がいきなり、こう質問したのです。
「天皇と私たちは、どのように、お付き合いすれば良いのでしょうか」
学生が質問すると一瞬、先生の目が「キッ」と光を放ったようだったそうです。
それまでの様子とは明らかに違い先生は何も返事をされませんでした。
広間には水をうったようなシンとした空気が流れ、たった数秒間のその静寂がもの凄く長く感じられたそうです。
そして、
「君、本当に天皇に興味あるの」
小林先生は口を開かれ、はっきりと言われました。
そして、その後、「どうして、そんな質問ができるかなぁ」と呟かれたそうです。
自分が質問したわけではないのに、震えるほど怖かった、と話されていました。
「君、本当に天皇に興味あるの」この先生の声が胸に突き刺さり、決して忘れられない一言だったそうです。
その後、先輩はこう話されました。
これは「失言」というものではない。また「勘違い」でズレたというものでもない。
「本心は他にある」のだ。と「言葉を巧んでいるからだ」と
「本心は外にある」くせに不用意に吐いてしまうのだ。それを指摘されたのだ。と
要するに「その場を取り繕う」「偉く見せたい」「知ったかぶりをしている」という
「本心不在の状態」だと。
もう、何十年経つのだろう。何も進歩していない。だから自分が恥ずかしいのです。
でも、明日は来るのですね。
新しいコーヒー豆入荷しました。
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恥ずかしいで思い出しました。
次回は星の王子様に出てくる恥ずかしいがり屋の酔っ払いとボブ ディランの話をしましょう。